• 弁護士さん訪問② 生地の商用利用可否問題について、法律的な基礎知識

    by  • 2016年3月22日 • 生地の商用利用のはなし • 0 Comments

    前回書いた通り、以下の疑問を持って虎ノ門にある法律事務所の弁護士・弁理士、大熊様にお話を伺ってきました。
     
    1.「権利の消尽」原則によって、権利者が主張している「製品化販売禁止」は、本当に無効になってしまうのか?どんな法律をもっても?
     
     ※「権利の消尽」については前回記事を参照ください
     
    2.個人レベルのネットでの販売で、裁判にまでなってしまうことがあるのか?
     
    3.万一法的な手段に出られるということがあったとして、それはどんな形でやってくるのか??
     
    弁護士さんに聞いてきました!
     
    ご質問にあたり、想定したのは以下のような行為です。

    個人が、ある有名キャラクターのイラストが描かれた生地を使ったバッグを製作し、作品の写真をネットに掲載して販売したケース

     

    ■「著作権法違反」と一言で言うけれど、その中身は・・・

     
    まずは、仮に裁判になったとしたらどちらが勝つか、という話を置いておいて、「どんな権利を侵害したと問われる可能性があるか」について説明します。
     
    「著作権法違反」と一言で言いますが、「著作権」というのは複数の権利が集まって束になったものです。たくさんありますが、たとえばご質問のケースでは、可能性としては、
     
    ・キャラクターの写真を撮ったこと自体が「複製権」の侵害にあたる
    ・キャラクターの写真をネットに掲載したことが「公衆送信権」の侵害にあたる
     
    などと言うことはできます。「複製権」も「公衆送信権」も、どちらも著作権法の中の分類です。裁判で勝てるかどうかは別にして、これらの権利を侵害したということは、できます
     
    販売に関する権利は「譲渡権」になります。「譲渡」とありますが、対価を得て譲り渡す、いわゆる「売買」もこの中に含まれます。では、
     
    ・キャラクター生地を使ったバッグを販売したことが「譲渡権」の侵害にあたるか、
     
    というと、これは、「譲渡権を侵害した」とは言えません。「譲渡権」も、著作権を構成する権利の一つです。ご質問メールにあった「権利の消尽」とは、権利者が一度正規のルートで販売をすると、そのあとはこの「譲渡権」が消えてしまうことを言っています。
     
    このように、「著作権の侵害」と一言で言ってもいろいろな形の権利があるのだということを、まず理解してください。
     
     

    ■「販売」をしないでほしいというメーカーの要求に効力はない

     
    「著作権」とは複数の権利の束である、ということを踏まえた上で、ご質問の「販売した」ことが問題かどうかについてあらためてお話しします。
     
    著作権法上は、作品を作って販売することをやめてほしいとメーカーが言っていること自体には、効力がないと言えます。
     
    まず一つ目の根拠は、先ほどご説明した通り、メーカーが正規のルートで小売店に生地を販売した時点で権利者の「譲渡」に関する権利が消えてしまっていることです。生地ショップなどの小売店から生地を買った人(この場合はハンドメイド作家)がそれを再度別の人へ販売しても、その「販売」すること自体には問題がないのです。
     
    もう一つ、ネットに「禁止」と書いただけでは、この場合の作品の販売にまでは法律の効力が及ばない、ということが言えます。法的には、メーカーがどうしても禁止をしたいなら「売主」と「買い主」としての契約で合意する必要があるのです。
     
     
    例えば古本やCDの再販売のケースを考えてみてください。一度購入したものを誰かに「譲渡」するのは、適法なのです。著作権があるからと、中古品にまで権利者の権利を主張されると、流通が成り立たなくなります。
     
    法律は、基本的には、自由競争を大事にするのです。
     


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    ■「販売」したこと以外の点で、権利侵害を問われる可能性は、無いとは言えない

     
    最初の話に戻って、キャラクターの写真を撮ったこと自体、または、その写真をネットに掲載したことが、「複製権」や「公衆送信権」の侵害にあたると言われる可能性は、あります
     
    例えば本の場合を考えてみましょう。一度正規に購入した本を、古本として再販売することは、法的に何の問題もありません。けれども、本の写真を撮ってネットに上げることについては、著作権法の複製権や公衆送信権の侵害にあたり違法だと判断される可能性があります。
     

    ***筆者注記***
    この写真撮影とネットでの公開については、実はさらに細かい条文や規則があるということを、後日大熊弁護士より補足でご説明いただきました。掲載した物の種類や画質などによっても判断が変わってくるケースがあるようですが、今回は省略します。
    ***筆者注記***

     
    ネット上に写真とか文章を公開することを差し止めるように言われるのは、よくあることです。例えば有名なアーティストの歌の歌詞を無断で載せて公開してしまうのと似ています。また、ブランド品の販売会社がブランド品のHPに乗っている写真を使って自社のHPに載せてしまい、差し止められるようなケースもよくあります。
     
    ただし、あとで詳しくご説明しますが、ご質問のケースの場合では、仮にこれらの権利の侵害であるということで裁判になったとしても、最終的にメーカー側が勝つのは難しいか、勝ったとしてもその賠償額はごく少ないものにしかならないでしょう。
     

    大熊弁護士

    虎ノ門法律特許事務所、大熊弁護士。納得するまで丁寧に説明してくださいました。


     
     
    なるほど、「著作権、著作権」ってよく言いますが、奥が深いんですね。
     
    さらに、「著作権法」以外の法律に違反していると言われる可能性も考えられるとのことなので、次回でご紹介します。
     
    さらに最終回にかけて、万一法的措置を取られたらどうなるか・・・についても考えていきたいと思います!
     
     
     
    <関連記事>
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    【2回目】弁護士さん訪問① そもそもの疑問、生地を商用に利用しても著作権法的に問題じゃない・・・!?
    【3回目】弁護士さん訪問② 生地の商用利用可否問題について、法律的な基礎知識
    【4回目】弁護士さん訪問③ 生地の商用利用可否問題について、著作権法以外の法律と、訴訟に発展する可能性
    【5回目】弁護士さん訪問④ 生地の商用利用可否問題について、まとめ
     
     
     

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    三児の母です。手作り大好き。でもそれよりもっと、たくさんの手作りママのサポート、入園準備に四苦八苦する(過去の私のような)ママのサポートがやりたくて、「入園・入学準備てづくり.com」運営はじめました。

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