• 弁護士さん訪問③ 生地の商用利用可否問題について、著作権法以外の法律と、訴訟に発展する可能性

    by  • 2016年3月25日 • 生地の商用利用のはなし • 0 Comments

    前回は、「著作権」とは複数の権利の束である、というお話をまとめています。虎ノ門法律特許事務所の大熊弁護士に、貴重なお時間を割いていただき詳しく教えていただきました。
     
    正直・・・「販売すること自体は問題ない」という話はショックですが、それは「譲渡権」という、著作権の中の一つの権利についての話だということがよく分かりました。
     
    そして、権利者側がどうしても争いたいときに盾にできる法律もあるのだということが分かってきました。今回はさらに質問を進めて、「著作権」以外の法律に違反する可能性についても伺いましたので、お伝えしますね。
     
    【続】弁護士さんに聞いてきました!
     
    確認になりますが、この法律相談にあたって想定したのは以下のような行為です。

    個人が、ある有名キャラクターのイラストが描かれた生地を使ったバッグを製作し、作品の写真をネットに掲載して販売したケース

     

    ■「販売」したこと自体が権利侵害にあたると言われかねない法律もある

     
    「著作権法」以外の法律もありますので、ご説明しておきます。
     
    今回のようなケースですと、「商標権」の侵害にあたると言われる可能性もあり得ます。
     
    「著作権」は、いわば「表現」に関する権利です。この「表現」したものを「コピー」することが、著作権の侵害に当たります。先ほどから何度も言っているように、表現されたデザインを複製したりネット上に公開したりすると侵害にあたりますが、生地を購入した人が、それを再度「販売」すること自体は、著作権の侵害とは言えないわけです。
     
    一方でこちらの「商標権」には、全体の品質保証も含まれています。ですので、例えば一度購入したものに何らかの加工をして売ったりすると、その「販売」したこと自体が権利を侵害していると言われてしまうケースもありえます。
     
    例えば過去に、伸びるタイプの携帯ストラップが流行ったことがありました。このとき、ストラップを仕入れて、一部(ストラップを巻き込む丸い部分)に自分のデザインを入れ販売した人が訴えられたことがあります。このケースでは商標権者が勝ちました
     
     
    ハードルは高いですが、「不正競争防止法」違反を使うこともありえます。
     
    保護されるのが類似する商品やサービスに限られてしまう「商標」に対し、まったく違う領域でブランド名を使われた場合にもその権利を保護できるのがこの法律です。
     
    例えば、「シャネル」という有名なブランドがあります。当時このブランド名は飲食店では商標登録されておらず、シャネル側はこの名称を店名に使った飲食店を、商標権侵害で訴えることはできませんでした。それでも「不正競争防止法」を使って争い、差し止めや損害賠償の請求が認められた、という事例があるのです。
     
    ほかの例を挙げますと、たとえば、アイフォンの使い方、マイクロソフトオフィスの入門書、といった本を、あたかもアップルやマイクロソフトの出したものと誤解されるような形で出版したような場合に、「商標権侵害」と言われるか、もしそれが不可能な場合でも「不正競争防止法違反」を使って争われる可能性もあるのです。
     
    ご質問の例でいうと、例えば、ディズニーキャラを使ったバッグを作った場合に「ディズニー社が出したものと混同させてしまうような表示になっているとNG」というわけです。
     


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    ■実際に訴訟になったケースは?

     
    上記のような権利の侵害にあたるということはできますが、ご質問の内容でしたら、おそらく、裁判になった場合にメーカー側が勝のは難しいだろうと考えられます。
     
    とはいえ、「差し止め」まで行かなくても、「警告」が来る可能性はあります。
     
    メーカー側が何十万、何百万を払えば取り下げる、と言って来たりすることもありますが、では実際に、その個人がウエブサイトに作品の写真を掲載したことがメーカーにいくらの損害を与えたのかというと、そこまで大きいことは通常はないでしょう。
     
    訴えて勝てたとしても賠償金はごく少額になるはず(何十万とか何百万というレベルにはならない)ですし、敗訴の判例ができるリスクをとってまで大きなメーカーが裁判を起こす可能性は低いと考えるのが普通です。もし警告が来ても怖がることはないでしょう。
     
    ただ、念のため最後に一つ付け加えておきます。
     
    もしそれがまかり通ると日本経済全体に与える影響が大きすぎる、と考えられるような場合には、裁判所も原則通りではなく状況を見た判断を下したケースも過去にはありました。ですので、今の法律に照らして問題ないからといって必ず大丈夫とは言い切れないとは思います。
     

    ***筆者注記***
    段階としては、ざっと以下のような流れがあるようです。
    ①警告:裁判所を通さず、直接権利者かその弁護士から文書が届く。
    ②差止:裁判所の決定として、違法であるので販売をやめるようにという指示が出る。権利者が早く侵害行為をやめさせたいために裁判所に申し立てをして「仮処分」が出る場合と、正式に訴訟を起こされて裁判になり、「判決」として差止められる場合とがある。
    ③損害賠償:裁判になり、その行為によってメーカー側に損害があったと認められれば「損害の賠償」をしなければならなくなるケースもある。
    また、今回のケースではあまりないとは思いますが、権利者側が訴える以外に、悪質な著作権法違反で「逮捕」されるというケースもあり得ます。漫画や雑誌の写真、動画などを無断で投稿して逮捕された事例などがあります。
    ※私は法律の専門家ではありませんので説明は不十分です。ご了承ください。
    ***筆者注記***

     

    大熊弁護士

    虎ノ門法律特許事務所、大熊弁護士。納得するまで丁寧に説明してくださいました。


     

    ■まとめ

     
    ・「販売」したこと自体は著作権法違反とは言えないが、それ以外の権利侵害を問われる可能性はある
    ・大きなメーカーが負けるリスクを取ってまで訴えてくる可能性は低いと考えられる。ただし警告が来る可能性は十分ある
    ・法律は基本的には自由競争を大事にする
     
    以上は、法律の専門家で日々いろんな争いに関わっていらっしゃる弁護士さんの立場での説明です。
    弁護士さんという人は、「大きなメーカー VS 個人」となったときに、思い切り「個人」側の見方をしてくれる人なんだあ、という印象を、とても強く受けました。
     
    「法律は、自由競争を大事にする」という一言も、響きました。そうやって、CDも本もどんどん再販売され、私たちはたくさんの安い中古品を手に入れることができるようになったんですもんね。
     
    なるほど、裁判になっても負けないのね!じゃあ、メーカーの主張は無視して好きに販売しちゃおう♪
     
    ・・・とは、私たちの立場では、ならないですね。
     
    争いたくないですもん。子どもたちとの時間と自分の趣味を大事にしながら、幸せに社会とつながっていきたくて始めた仕事ですもん。
     
    次回、最後のシメに、それでも万一訴えられちゃったらいくらかかるの?ということも含めて、私の思いを書かせて頂きます。
     
     
     
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    三児の母です。手作り大好き。でもそれよりもっと、たくさんの手作りママのサポート、入園準備に四苦八苦する(過去の私のような)ママのサポートがやりたくて、「入園・入学準備てづくり.com」運営はじめました。

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